氷竜、動揺する
~保身について~
「アリオーシュもレオナールも、事情あっての現在なのはよく判るのですが、困りますね」
『平たく言うと変態だ』
「母様、すっぱり言い過ぎです。お二人が今いないから良かったものの」
『全く、お前はやたら人間の肩を持ちたがるな? お前こそ我からすれば困ったものだ。もっと誇りある我等の血をだな……』
「判ってます、でも、僕は……。何だか、あのお二人やカイム様は、人間に括るのは間違いな気もします。人間と言えるのは、ヴェルドレくらいでは?」
『人間は人間だ。人間だからこその異常が生まれ、ああなる』
「異常ですか。……確かに正常じゃないですよね。子供を食んだり、子供に盛ったり」
『お前が狙われない程度の子供であったことに、我は内心安堵したぞ』
「仮にも竜なんですから、容易く襲われはしません!」
『だが人間は竜を殺すことができる。お前の一族の時のように』
「……それは、言わない約束です」
『……まあ、案ずるな。我もカイムもお前を奴等に食わせる気は毛頭ないわ』
「……カイム様?」
『カイムもお前の身を案じてそれとなく警戒しつつ奴等を威嚇し続けているのだ。気付かなかったのか?』
「え、いや……はい……」
『はははっ、やはりお前はまだまだ子供だ』
「そんな、母様! 僕だってもう大人です!」
(子供ほど、大人であることを主張したがるよな)
「カイム様!」
『言われておる、言われておる。早く大きくなるのだぞ』
「ああもう、二人が一番困ったひとたちです……」
氷竜は今日も大好きなひとたちにおちょくられて、溜息を吐いたのでした。
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