織姫は仕事熱心でした。
 大好きな母様に褒めて貰えることが嬉しくて、年がら年中働き詰めです。

『あれはあれで拙い』

 そう考えた母様の気遣いで、彦星が織姫のもとにやってきました。織姫を休ませるように言われたのです。
 しかし、彦星は喋れなかった為に、織姫と満足なコミュニケーションすら取れませんでした。
 母様は、別の彦星を使いに出しました。
 前の彦星に比べ、かなりおしゃべりなその彦星は、織姫を一目見るなり気に入りました。

「織姫、遊ぼうぜ。たまには息抜きもしなくちゃ体が持たないぞ」
「いやです」
「手厳しいな」

 足しげく通ってくる彦星を、織姫は相手にしません。しかし毎日毎日やってくる彦星に、織姫は内心困っていました。

「母様。最近妙なへそ出しの人間が煩いんです。何とかなりませんか」
『……うむ』

 仕方なしに母様は、織姫の仕事場の前に、大きなおおきな川を作りました。これで彦星は織姫に会えません。
 本末転倒でしたが、可愛い我が子の頼みだったので、仕方ありませんでした。
 しかし今度は、彦星が文句をつけてきました。

「何だ、あの川は。織姫に会えないじゃないか!」

 彦星は「織姫に会いたい」とせがみ、しかし織姫は「静かに仕事をしたい」と拒みます。
 ふたりの主張は正反対で、しかし、ふたりの意志はかたくなでした。
 悩みに悩んだ母様は、決めました。

『彦星よ。年に一度だけ、あの川を渡らせてやろう。そして織姫よ。年に一度、その時ぐらいは仕事を休むのだ。判ったな。反論は聞かぬ』

 彦星と織姫は渋々頷き、その提案を聞いたと言います。
 そうして二人は、年に一度だけの逢瀬を許されました。
 この逢瀬の日が、七夕なのです――。(あくまで冗談です)

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