相も変わらず赤い竜は口うるさく、しかしいつも俺の感情を的確に代弁していた。
たまに長々と語るのは俺への説教が何かのつもりだろうか。いや、それとは違う。嗤っているような、嘆いているような。不思議な言葉だった。本当に不思議だ、俺はそれを嫌だと思うことが無かった。
――しかし、それよりも俺がいま気にしているのは、これだ。
人のかたちをした竜。
無表情に近い整った顔と纏う法衣から、誰かこれを竜だと想像できるだろうか。どうやっても、か弱そうな僧か何かだ。以前見た白銀の氷竜と、これが同じだなんて。未だに幻術か何か掛けられていたんじゃないかと思うほどだ。
「どうかしましたかカイム様。変な顔をしていますよ」
不躾なこれは、赤い竜を見守りながら、俺を監視していた。鋭い視線で俺を射抜きながらも、光を乱反射する宝石のような瞳はたいそう美しい。
性格も赤い竜に比べればずっと大人しく、竜らしさは微塵もない。人間への嫌悪感だけは赤い竜より上のようだが。
赤い竜の代弁なしに俺の声を読み取っては、何かをひとりでごねる。いじける。笑ってみせる。そのすがたは子供のそれと変わりない幼さだった。
だが――、少しずつその子供らしさが和らいできたのに気づいた。
何がこれを変えたのか判らない。少し考えてみても、やはり思い当たることなんて無かった。
乱反射する瞳は、俺を見て可笑しそうに笑っている。
「僕が変わったのは、あなたが変わったおかげですよ」
勝手に人の声を拾って返事をする姿は、竜には見えないほどに穏やかだった。
はやはり、生まれ方を間違えたに違いない。
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