「銀時ーッ!」

 満面の笑み。
 靡く艶やかな髪。
 透き通るような白い肌。
 見れば見るほど可憐な大和撫子、一応我が旧友だったりする。
 名前は。苗字を聞いた覚えがない。

「これが女だったら文句無しだってのに……」

 残念なことに奴は男だ。少なくとも攘夷戦争時代は俺らにまじって戦ってたし、身なりも一応男だった。女顔だったけど。
 すっかり死んだとばかり思ってたがこの間まさかの再会を果たした。
 そしたらどうだ。
 女のように髪を伸ばし、化粧をし、着物を纏い……お前には細やかながらも確かな男の印がついていたはずだよね?
 銀さん、まさか勘違いしてたってことですか?
 包み隠さずに尋ねてみたら、

「これは女装というか、その、ファッションだよ」

 どんな言い訳だァァア!!
 まあ何か言いづらい訳があるんだよね? 銀さんは覚えてるよ、お前は人に悩みを相談出来ないタイプだったよな。
 ……周りに相談出来るようなメンツがいなかったのも原因だろうな……。

「とか思っていた時期が僕にもありました」
「銀時?」

 ところがどっこい。

「お前、女装してるのは指名手配から逃れる為だとは、銀さんも気付かなかったよ」

 何やらあの戦争の後に一悶着あったらしいは、そのせいで幕府に追われているらしかった。
 一生懸命調べたが詳しいことはちっとも判らない。昔からは隠蔽や撹乱が得意だったからな。

「……言ったら迷惑だろ? 桂だって散々迷惑を掛けてるしいじゃないか」

 何とまあ、しおらしい。
 お前の爪の垢煎じて飲んだらきっと賢くなるだろうなあ。
 ヅラに飲ませてやりたいわ。

「水臭えなぁ。神楽も新八もお前のこと気に入ってるみたいだし、気にしないで来いよ」
「そうなの?」

 キラキラした目で見上げてくるとかお前それは反則だよ。

「俺の知り合いでまともな奴は殆ど始めて見た、とか喜んでたぜ」
「銀時、完全に変人扱いされてるんだな」
「哀れむな哀れむな! まあそんな訳だし銀さんの株を上げるついでに遊びに来たらいいわけよ」

 本当に嬉しそうな顔するなぁコイツはよ……。
 うんうんと頷いて、えへへとか言いながら笑っている。
 どうしようもなく可愛くて仕方なかったので頭を撫でてやった。

「あーこの際、女じゃなくても良いかぁ……」
「は?」
「こっちの話」

 俺は話を切って踵を返した。

「とりあえずウチ来いや。その方が話しやすいだろ」

 そう言って何となく伸ばした手を、はためらう事なく掴んで微笑んだ。
 ああもうどんだけ可愛いんだよコンチクショー。

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