洗濯や掃除なんて、慣れたものだった。
 7歳の時に遭った一度目の火事で両親を亡くしてから、家事をやらなきゃいけなくなったから。
 父の兄……隆司さんの家に世話になって、隆司さんの奥さんに「世話になるからには働け」と言われ、その通りだなと思った。
 伯母さんは僕を嫌ってたみたいだった。
 僕が『変』なんだから、仕方なかったけれど。
 我が儘を言って高校まで行かせて貰った。代わりに、掛かった学費は、働き始めたら全部返すように言われた。
 でも高校の時に、また火事に遭ってしまった。
 その時、伯母さんが煙にやられて亡くなってしまって……。

くん。君は死なないでくれよ」

 隆司さんは僕を元気づけてくれて「学費なんて良いから僕より長生きしてくれ」とお爺さんみたいに笑った。
 高校を卒業した僕は、すぐに就職して隆司さんの家を出た。
 仕事をして一人暮らしをしながら、学費を返済し続けている。あれだけ世話になっておきながら、返さないのも気が引けたし……。

 でもまさか……ひったくりにカツアゲ、挙句には3度目の火事がくるなんて思いやしなかった。
 サイレンとかよく判らないことも出て来るし、気付いたらこんな豪勢な屋敷で働かせて貰ってるし……。

「うわっぷ!」

 ぼーっとしてたら、干し途中の洗濯物が顔面にヒットした。
 そばにいたヴァンくんが小さく笑う。(懐いてくれてるようで、よくお手伝いをしてくれる)

『はは……まあ、そんな感じなんだ。僕はね』

 口でべらべら話してるのが見つかったら言い訳できないので、二人きりでのんびりテレパシーで会話してるんだけど……サイキッカーだらけなんだからバレるよね…。

『大丈夫。さんテレパシー上手だから』
『…生まれた時から付き合って来た甲斐があるよ、うん』

 小さい頃からこういうのが出来るせいで色々と嫌な目にも遭った。今はコントロールも効くし、慣れたけど。
 伯母さんも、この力が嫌いだった――。

『さて、洗濯物終わったし、休憩しようか』
『やったー』

 今日は緑茶にしようかなぁ。

Top