僕はね、本当に君のことが大好きだよ。
だから、いつまでも君と一緒にいるために、君には幾つか許して欲しいことがある。
まず、僕はDホイールとデュエルが大好きなことは知ってるよね。
夢中になりすぎて寝ること食べることをないがしろにすることも知ってるよね?
Dホイールとデュエルは、記憶を無くした僕にとって大事な支えなんだ。でもね、放置同然な状態の君が、複雑な顔をして見てくるのも実は気づいてる。
申し訳ないとは思うけれど、どうか僕がこのふたつの趣味に没頭することを許して欲しい。
次にいこうか。
君は明るくて、みんなを笑顔にしたいと頑張るよね。「俺メイド服で芸人かマジシャンになろうかな」とか言って、それが結構本気みたいだから内心困る。
けれどそれより問題なのは、君が体を張りすぎること。動かないと死んじゃうかもしれないけど、動きすぎた方がよっぽど危ないと思わないかい?
みんなのため、も良いけれど、君は君自身にお休みをあげることを許してあげようね。君が倒れたら僕は絶対笑えないよ。
じゃあ次。
さっきとちょっと内容が被るんだけれど、良いかな。
みんなを笑わせたいからって分け隔て無い君のフレンドシップは、誉めるべきなんだろうか。
正直、僕はあんまり面白くない。自分の好きな人が色んな人と仲良しだと、不安になったりするものだろう?
特に僕はその傾向が強いみたいで、必死に作り笑いでやり過ごしてる。
君の信条をとやかく言うつもりはないけれど、その代わり、こんな醜いヤキモチを妬くことを、許してやって欲しい。
さあ、これで最後だ。
一番真剣な話になる。
僕には、何より優先するべき使命がある。それが何かを詳しく話すことは出来ないけれど、この命に代えても果たさなければいけないことなんだ。
その為に、不意に君から離れたり…君の前から消えて戻らないこともあるかも知れない。君に悲しい思いをさせる時が来るかもしれない。
――それでも僕は、君が好きだよ。
何があっても、この思いは、失われはしないから。ずっと君を想い、君の幸せを祈るよ。
だから、そんなことになっても、どうか許して欲しい。
君が、僕以外の誰かと幸せになっても、その時ばかりは覚悟して受け入れるよ。きみは素敵な人だから、誰も放っておかない。
だから、ね。お願いだ。
僕を許して欲しい。
「……今更すぎる」
話し終えた僕に、君は笑ってみせた。子供っぽい笑顔に反して、大人びた口調だ。
ゆっくりと距離を詰めた君は、呆れたように話す。
「そんなこと、みんな昔に覚悟してるよ」
「……」
「まあ最後は初耳だったけど、ブルーノが何か違うものを持ってるのは、何となく悟ってた」
それに、とは苦笑いを浮かべた。
「いつかいなくなるかもしれないのは……お互い様だろ?」
胸が鋭い何かで突かれたように痛んだ。小さなを僕の腕のなかに収めて、すがりつく。
「嫌だ……。君と離れるなんて嫌だよ」
「離れてても、一度結ばれた絆はなくなりゃしない」
「そんなの……奇麗事だ」
「試してみなきゃ判らない」
控えめに僕の体に回されたの腕。僕にすべて任せるように寄り添い、小さく笑っている。
「まあ、そんな怖い先のこと考えるよりかは、今、甘えられるだけ甘えたいけどね」
奇麗なことを言うんだね。
でも僕には判る。
かすかに君の体が震えていることが……。
僕と同じように、君は僕と離れてしまうことを恐れている。
ああ、自惚れちゃうよ?
一生懸命に言葉で虚勢を張るけれど、中では、見えない別れに震えている君。
僕らは互いに依存しすぎてしまったんだね。
「ごめんね、もうひとつ付け加えさせて」
この依存を情けないと思うどころか、心地いいと感じる僕の愚かさを、どうか許して欲しい。
小さく頷いた想い人の体を抱き締め直して、僕は笑った……。
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