ちく、たく、ちく、たく。
時計の秒針の音に、ひたすら耳を傾ける。
この音を心地良いと思う日と、煩わしいと思う日がある。今日は前者だった。
「遊星」
呼び掛けると、彼は静かに目を開けた。深い青は俺に微笑みかけて、そっと手を伸ばしてきた。やさしい手のひらに髪を撫でられ、自然と顔が綻ぶ。
俺たちはそのままベッドの中で身を寄せた。
肌と肌が直で触れ合うのはやっぱり恥ずかしいけれど、すごく幸せだ。
「そろそろ起きないとな」
「もう少しだけ、こうしていたい」
「……ん。俺も」
夢みたいな時間の後に、真っ暗な睡眠を乗り越えて。目が覚めても、やっぱり夢なんじゃないかと疑ったくらいだった。
こんなに近くで遊星を感じているなんて――。
昨夜の名残で、体はゆるく軋む。つまりは、全てが現実であることの証明だ。
恥ずかしくて体温が上がっていくのを押さえられなかった。異変は遊星にもすぐ伝わってしまう。
「……?」
「い、今更だけど……恥ずかしくなって」
呟く俺に、遊星はくすくす笑いながら返した。
「……可愛かった」
「は!?」
「今も、すごく可愛い」
体温は更に上がって、熱が頭の中をぐるぐる躍ってる。遊星の静かな声がやたら甘く響く。腰を指先でするりと撫で上げられて、思わず息を呑んだ。
遊星が俺の首筋に顔を埋めてくる。髪の毛がくすぐったい。
「だが……可愛すぎて、困る」
何が困るのか、尋ねる前に気付いた俺は思わず固まってしまった。
遊星が顔を上げて、俺の目を見て笑う。やさしい微笑みとは不釣り合いな、妖しい眼差し。体がぞくりと跳ねた。
「、もう一度だけ……」
すっかり痺れてしまった俺の思考回路では、拒絶することなんて出来なかった。
遊星の声が、指が、与えてくれる刺激が、全てが確実に俺を侵蝕していく。
抜け出せない依存の中へ、ゆっくりと浸っていく体に、自然と笑みが零れた。
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