俺は道化を演じる
特別な力もない俺が悩んだところで、他にできることはなかった
ひとりくらいバカで笑ってる奴がいると結構違うもんだろ?
俺にできるのはそれくらい
なあに、こういう役のほうが気楽で、俺にはぴったしなんだ
「すまない。俺のせいで」
「お前ひとりのせいじゃないだろー! つか何で遊星が謝るんだよ」
何度諭しても、遊星は俺に謝り続けた
なんでだよ?
全部俺は自分でやりたくてやってるんだぜ
どうしてそんなに悲しそうな顔をするんだよ、君が笑わなきゃ誰も笑わないんだ
さあ、笑って
こんな曇り空も吹っ飛ばすぐらいに!
「お前が笑ってくれなければ、俺は笑えないんだ」
「俺、笑ってんじゃん」
「違う。泣いている」
君は変なことを言う
苦しそうに顔を歪めて俺を見る
俺は目を細め、にっこり歯を見せ、笑って君を見た
ほらほら、こんな笑顔見たことないだろ? 俺すっごい笑ってるだろ?
「ほら、一緒に笑おうよ」
曇り空が機嫌を損ねて、ぽつりと雫をこぼした
俺の頬を滑った雫を、遊星は辛そうな顔で見つめていた
「……ほら、泣いてるじゃないか」
ぽつり、ぽつり
雨は俺の顔を撫でていく
俺は笑った
「泣いてるのは、お天道様だよ」
雨が目に入ったらしい
視界が霞む
本格的に降り始めた雨を前に、遊星は言葉もなく俺の手を引いて歩き出した
濡れ鼠になったのは、何故か俺だけだった。
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