「私、あなたの髪が好きなの」
俺は、アキの突然の告白に固まった。アキに教わりながら組んでいたサイキック族のデッキが、中途半端な形でテーブルに広がったままだ。
俺は改めて、隣に座るアキを見た。
「あ、アキ? いきなりどうしたの?」
「一度で良いの、お願い。……触らせて」
可愛い顔をうっすら赤くして「お願い」だなんて言われたら、俺には断る理由なんて見つかりませんでした。
こくりと頷くと、アキは嬉しそうに笑った。
真っ直ぐ伸びてきた両手が、俺の髪に触れる。かと思いきやアキの方に引き寄せられて、ぎゅっと抱きかかえられてしまった。
アキの、柔らかくて温かい感触が、片頬にくっついてる。
「あ、ああ、アキちゃん!?」
「やっぱり。この触り心地、気持ちいいわ」
アキは幸せそうに俺の頭を抱えて、俺の髪に頬を寄せてきた。アキの胸に埋もれそうになって慌てて顔をずらす。でもやっぱり、触れるものは触れてしまう。
お、俺は悪くない! これは事故なんだ!!
「……ねえ」
何だか熱っぽい声でアキが話しかけてくる。
「これからもたまに、こうして良いかしら?」
俺は今度こそ完全に固まった。
そしてそんな俺の沈黙を肯定と受け取ったらしいアキは、無邪気に笑う。
「やったわ、約束よ?」
俺の混乱は増すばかりだったけれど、大好きな彼女と触れ合うための口実が出来たのは、嬉しかった。
だが少しは、アレやコレのことを考えて欲しいな。
もうひとりの俺を押さえ込むため、内心は必死な戦いをしていたことは彼女には絶対の秘密である。
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