「男って良いわよね」

 何やら神妙な面もちのアキちゃん。その呟きが気だるそうなのは、やはり暑さのせいだろうか。
 俺はパ○コを食すのを一旦お休みして、彼女に向き直った。

「え?」
「極限まで服を脱いで涼むことができるんだから」

 アキちゃんの眼差しを追いかけ、その先が俺自身であることに気付く。シャツを脱ぎ捨て、タオルを首に掛け、ズボンの裾は七分丈くらいになるまで捲っている夏スタイルな俺。
 対するアキちゃんは何時もの長くてヒラヒラした、かつスマートでカッコいいあの服のままである。

「あ、そっか。女の子は脱げないもんね……」

 何だか申し訳なくなった。俺、いくら何でもおっさん過ぎる格好だ。いや、おっさんでももう少し弁えた服装かもしれない。
 暑さでほんのり赤らんだ彼女の顔を見るとこっちまで暑くなりそうだ。いや既に暑いんだけれど。だから上半身裸なんだけど。
 俺は彼女にもアイスをあげようと思い、パ○コをくわえたまま冷蔵庫に駆け寄った。
 パ○コの半分はさっき龍亞にあげたがらなぁ……どうしよ、アイスまだあったっけ。アキちゃんが好きそうなやつ。ん? アキちゃんってどんなアイス好きなんだ?

「アキちゃんってチョコ系がいいの? フルーツ系? シンプルにバニラ?」
「まあ言っても仕方ないことなんだけれど」
「いやいや、この暑さだもんな。アイス食べたらちょっとは変わるやも……」
「どうかしらね」

 アキちゃんはふうとため息をついた。少しずつ俺に歩み寄って来るのが判る。

「暑いにしても……ねえ、。女の子の前でそんな格好って、どうなの」

 うらめしそうな声がした。背中に突き刺さる視線に耐えながら、俺は何とか言葉を紡ぐ。

「ご、ごめん。いきなりアキちゃん来てから、服着るタイミング逃して…」
「私のせいなの?」
「いやそういう訳では……い、今なんか羽織るから! ごめん!」

 慌てて振り返ったら、びっくりした。間近に迫るアキちゃんの顔。めちゃくちゃ可愛い。けど火照った顔がすごくやばい。……性的な意味で。

「じゃあ私が暑いのはのせいだからね」
「え、えっ?」

 アキちゃんが、笑う。にっ、と。それはそれは艶めかしく。男としてそれは、大層色んな箇所に響いた。

「あなたがそんな格好してるから、私、変な気分になっちゃったのよ」

 暑いと言いながらもアキちゃんは楽しそうに俺にすり寄ってくる。
 胸板にぴったり触れた彼女の手のひらは、物凄く熱い。

(暑くて熱くて、身体中が沸騰しそうだよ!)

 今後はいくら暑くても、何か上着でも羽織っておこうと心に誓う俺だった。

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