俺の右手を龍可、左手を龍亞が握っていた。しかも二人とも、とびきり楽しそうにニコニコ笑っている。双子だから当然なんだけれど、二人は笑顔までソックリだ。
「そうだ、このカードとかどう? 結構戦力になるし!」
「えー! そっちより絶対にこっちよ。ね、さん」
龍亞が左手でカード見せてくると、対抗するように龍可が右手で別のカードを持ってくる。
手を繋いでくるってことは少なからず俺を好いてくれてるってことだから嬉しいんだけど、如何せん両手が塞がるのは不便だ。
「俺が手にとって見た方早くね?」
「それじゃ意味無いんだよっ!」
「そうよ、絶対にだめっ!」
「すんません!」
両側から怒られて、年上の貫禄など皆無の俺は情けないぐらい縮こまった。
何時までこうやって座ってたら良いんだろう……。
ひっそり悩む俺。
ふたりにデッキのアドバイス聞いたとこまでは良かった。そしたら何か龍可が「手を繋いでもいい?」って言うから頷いて、そしたら龍亞も「じゃあオレもいい!?」と言い出して。
……こんなんなりました。
何だろう。二人は何をしたいんだろう。
考えても判らない。
明らかに効率の悪い手段に及ぶ少年少女の心を読み取れない!
「さん」
不意に龍可に名前を呼ばれた。はい? と龍可を見ると、申し訳なさそうな顔をしていた。
いつのまにか龍亞もしょんぼり顔である。
俺が戸惑っていると、ふたりは手を離し、俺の前に回ると……揃って頭を下げた。
「ごめん、!」
「ごめんなさい、さん!」
「ええっ!?」
いきなり謝られてもどうしたらいいのか判らない!
混乱していく俺に、ふたりは語り始めた。
「オレたち、遊星たちよりといられる時間少ないからさ。せっかく一緒なの嬉しくって」
「その嬉しさで、つい、さんと手を繋ぎたいなって、ワガママを言ってしまって……」
でもなんでまた、手を繋ぎたいなんて――そう聞き掛けて俺は止まった。
ふたりが遊びに来たときにたくさん遊んであげているつもりだったけど、そういえばあんまりこの子らに触れてあげた記憶がない。ジャックに突っ込みをいれるときにスパーンと叩いたり、遊星と肩組んだり。そういうのはあるけれど、龍亞と龍可とは料理食わせてやるかデュエルかがメインで、手を触れる機会ってあんまり無い。
おまけに俺は前もって皆に“異世界の人間だ”って言ってあるから……。いつの間にか来た俺が、いつの間にか帰ってるって事態も大いに有りうるわけで。
「私も龍亞も、さんと思い出つくりたくて……」
「いろんなことしたくて、考えすぎてテンパっちゃって……」
ごめんなさい、とふたりが再び口を開く前に、俺はふたりを纏めて抱き締めた。
「うわっ!」「きゃあっ!」悲鳴まで可愛い兄妹をがっちりと捕まえて、俺はふたりの頭をこれでもかといわんばかりに撫でてやった。
「ちょ、なんだよ!」
「どうしたのっ、いきなり!」
「うっるせー黙ってお兄さんになでなでわしわしされなさーいっ!」
やっているうちに双子の戸惑いも消えたようで、三人でなでなでやわしわしをしあう合戦になった。
そこから何故かくすぐり合戦にまで及び、龍亞と龍可の二人からこちょこちょ攻撃を受けてしまって、俺は笑いなんだか叫びなんだか判らない声を上げながら、大の字で倒れていた。
ふたりも楽しそうに笑って寝転がっている。
「あー面白かった! 面白いんだもん!」
「本当に楽しかったね! カード散らかしちゃったけど……」
「まあ、カード片付けますかー」
三人で散らばったカードを集めて、そうして一段落。
俺は、龍亞と龍可に両手を差し出した。
二人は首をかしげる。
要領を得ないらしいふたりに、俺は笑って言った。
「もーちょい、手でも繋いどこーか!」
可愛い双子はしばし顔を見合わせると、揃って大きく頷き、笑顔の花を咲かせてみせた。
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