こんにちは、或いはこんばんは。
天谷奏夜です。
俺は夜の巌戸台分寮にて、度々仲間と会話している。なかでも今回はとの会話を振り返ってみようと思う。
まず最初は、が寮に来て間もない頃の話。ゆかりや順平たちのように、は自分のペルソナについて語ってくれた。
「俺のペルソナさー、斬撃と光属性に耐性あんだよね。二個も耐性あるとかすごくね?」
「耐性があるのは良いことだね」
「でしょ? でも闇属性にはからっきしだし、運が全然伸びないのよー」
不運な上に闇属性が弱点と言うことはつまり……“ムド系は十中八九死にます宣言”である。ムド系を使ってくる敵のときは要注意だ。
また別の日にペルソナについて話したときは、こんなことを言っていた。
「俺のペルソナ・デオンはスピードが売りだね。属性スキルも風系。後はバステ技とか。なんか……トリッキーよな」
「ペルソナはその人の分身みたいなものだからね、ある意味らしい」
「リカームドラも俺の心の表れなの?」
「そこは判らない」
更にまた、珍しくバイトもなくラウンジで寛ぐに、なんとなしに話し掛けたときのこと。は自分のペルソナの見た目が女であることを気にしていたのか、デオンという名前で色んなことを調べていたらしい。
「風花ちゃんと一緒に調べたらさ、昔、デオンって名前の女装騎士がいたんだって。かなり有能な人物だったみたいでさ……」
がため息混じりにぼやく。
「何で俺のペルソナにそんなスゲー人の名前がついちゃうかね? 心当たり無いよ」
「そんなこと言ったら順平のヘルメスだって神様の名前だし、俺のオルフェウスは冥界に嫁を連れ戻しに行った男の名前だし。大丈夫だよ」
「……なるへそ、それもそうだわな」
すんなり納得するあたりもらしい。デオンの騎士、今度俺も色々調べてみよう。ちょっと興味がわいた。
次の話はだけでなく、理事長の幾月さんも関わる内容だ。
部活にも入らず、バイトをし、欠席や早退を繰り返す女装生徒が学園生活を送れる理由……。自身も不思議だったようで、幾月さんが寮にやって来た時、そのことについて訊ねていた。
「何で俺の女装とかバイトとか、許して貰えてるんですか?」
「それはズバリ、入学前から君には“適性”があったからだよ」
幾月さんは笑いながら爆弾発言をした。がそんなに前から適性があったなんて……。
更に幾月さんは話す。
「女装での通学許可が欲しいと話された時、いわゆる心の問題があるのかと検査を受けてもらっただろ? その時、心の問題は無かった代わりに影時間への“適性”が見つかった。いずれ力を発現させたら戦力にと思って、僕は許可を出したんだよ」
「でも適性があるからって女装とか許します? 先生方の中でも把握してるかどうかって感じだし……」
の質問には俺も同感だ。
しかし幾月さんはちゃんと理由があって認可していることを説明してくれた。
「君。君は10年前の事故でお姉さんを亡くしていると聞いたよ。そして君がそんな格好をしたり、適性を持ったのも、そのお姉さんに関係しているのではないかと僕は考えている」
姉を亡くしているなんて……初めて聞いたぞ俺。というか聞いてしまって良かったんだろうか? 不安になってを見ると「気にしないでくれや」と笑っている。そして、俺の肩をぽんと叩いた。「いずれ話そうとは思ってたから」と。
との絆を感じつつ、幾月さんの話を静かに聞いていた。
「だから、君がベストと思った選択がこれならば尊重しようと思ったのさ」
「そうだったんだ……」
「バイトに関しても、君がご両親から学費を援助してもらえるか怪しい時があるって聞いたからね。お姉さんと同じ学校を強く希望していた君の熱意に応えたまでだよ」
「すいません。奨学金とれるほど出来が良くないんで……」
「気にしない気にしない。入学前から全部把握していたし、適性を持つ君をここに呼びたかった僕のほうこそ、狡いといえば狡いからね」
幾月さんは朗らかに笑っている。
「特別課外活動部に参加してくれれば、足りない単位も補えるようにしてある。成績も最近上がってきてるし、この調子なら何も問題ない。追々問題が出てきたとしたら……その時はその時でフォローするよ」
その後ダジャレを連発してから、幾月さんは帰っていった。
俺は改めてに訊ねる。
「、お姉さんが事故でって……」
他のメンバーは不在な今、ちょうどいいと思った。
軽くはない話の内容だというのに、はニコニコしている。
「うん。遺体見つかってないから失踪したってことになってっけど、多分事故に巻き込まれたんだろうって」
空元気なのかもしれない。俺もあの事故で両親を亡くした。も被害者だったなんて……。まずお姉さんがいたことも初耳だけど。
「まーあの事故で辛い目に遭ったのは奏夜くんや桐条先輩たちも同じだし、俺はめげない!」
「そういうものか?」
「そういうもの! でもまあ、適性あるからいろいろと許して貰ってたのは俺も初めて知ったよ」
それだけペルソナ使いを欲しているという切迫した状況であることだ。
どちらからともなく、真剣な顔になってしまう。
「俺たちで何とかしよーな、リーダー」
「ああ、絶対に」
のペルソナのアルカナは運命。
もしかしたらと俺の出会いも運命なのかもしれない……とか言ったらカッコイイかな。
運命の仲間。
この思い付きが後に真理であることを俺は痛感することに――……
「なるかもしんない」
「何が?」
「こっちの話」
とりあえず、が力強い仲間であり、いい友人であることを実感する会話ばかりだった。……と思う。
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