「新シンさん、近いです」
「近いんじゃなくて近寄ってんだよなぁ」
「ああなるほど、だから近いんですね……って、そうはなりませんー!」
「しーっ! 声出すなって! バレちまうだろ?」
「私の隠れ場所にきた新シンさんが悪いんですっ」
「ってえか、その呼び方は……」
「え? 立香くんがそう呼んでたじゃないですか」
「あー、聞いてたわけか。あんたサーヴァントに興味無さそうで結構聞き耳立ててたんだなぁ」
「か、カルデア唯一のマスターとサーヴァントの方々が友好関係を築けているかはやっぱり気になりますので……」
「なんか急に距離開けられた?」
「すいません、私、サーヴァントさんとのコミュニケーションをどうとったら良いのかわからなくってどう喋れば失礼じゃないのか一生懸命考えてるんですけど……」
「固く考えすぎだぜ、だっけか。マスターが俺たちにどんな感じで話しかけてるか見てるなら、それを真似ればいいだけだろ」
「はー!? いつの間に私の名前覚えられてるんですか!! 今名札も外してるのに!!」
「だーかーら、声でっかいってーの!」
「んむー! ……す、すいませんでした……。かくれんぼで大声を上げるなんて言語道断でした……」
「そうだぜ。ちなみに名前なんてすぐ覚えられるもんだ。マスターと仲良い職員なんて特にな」
「あ、そういえばそうか……。……円滑なコミュニケーションを行うにはあまりに敬いすぎるのもアレですか……そうですか……でも緊張するんですよね…………って……」
「ん……?」
「新シンさん……半裸……?」
「あ、うん」
「……ひ、ひええええええっ……!!」
「な、悲鳴あげるよーな体か、俺の体は!?」
「ち、違うのです、綺麗な入れ墨を今の今まで服か何かと勘違いしていた私の至らなさです……。男性との接触自体が不慣れなのに、こんな至近距離でしかも半裸の美男とクローゼットに閉じこもってるというのが耐え難いほど恥ずかしくてただでさえ貧相なボキャブラリーが更に駄目になっていくのを感じてるんでず……!」
「い、息をしろ息を! 詰まらせんな!!」
「視界が……白く……」
「酸欠!?」
「こんな美男と同じ空気を吸っでばいげない……」
「良いから吸え、死ぬから!」
「命とあらば!」
「あんた何キャラだ!?」

 ジャック・ナーサリー・茨木童子たちによるかくれんぼ大会にて惨敗する羽目になったものの、は新宿のアサシンから「よくわからないけれど面白い人間」という有難いのかそうじゃないのか微妙な認識を頂戴することにが出来たのだった。
 あの密室空間の記憶はにとっては刺激が強かったようで、しばらく新宿のアサシンを見かけるたびに真っ赤になって逃げだすという奇行を繰り返した。それも含めて彼にとってという人間は大雑把に言って好意的な人間として認識されている。
 と何かあったのかと問われた彼は、のことを思ってその出来事はマスターにすら明かさなかった。その義理堅さにがこっそりと感謝していたのも、当然彼にはお見通しだ。

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