※亮のキャラが崩壊しています


「りょ、亮せんぱ、い」
「どうした?」

 が赤い顔で俺を見上げている。きゅっと引き結んだ唇に、微かに震えている瞳がたまらない。
 可愛すぎる。

「あ、あのっ」
「ん……?」
「そのっ、あのっ、……手、繋いで、大丈夫、ですか…?」

 なんだこの破壊力は。
 耐えろ俺。
 そんな、手を繋ぎだいだなんて。頑張って自分から言うとか、もうなんだ。大丈夫に決まってる。
 答える代わりにの手をとった。顔は赤いのに、その指先は冷たい。
 は驚いたように俺を見上げている。ああ、この上目遣いもたまらないな。

「あ、ありがとう、先輩」
「丁度、俺も手を繋ぎたかったからな」
「よかった……です」

 ふわっと柔らかく笑うそのなんというか、雰囲気というか、とにかく言いようのない愛くるしさが……いかん耐えろ俺。しかし、なんという愛の三連打だ。とてつもない。
 しかし手を繋いだだけでこれでは、なかなかステップアップも出来ぬというもの。
 にやにやしながら吹雪に進展を聞かれたこともあったがこのとおりの有様であり(友としてアドバイスするという頭はないらしく、初めての恋愛に戸惑う俺が可笑しくて仕方ないらしい。字の如く一蹴してやった)、しかし俺の中では本能と理性が常に激闘を繰り広げていた。
 とアレやコレやソコまで……とは言わずとも、もう少し恋仲らしいことをしたい。
 男児というのは悲しい生き物であり、特に今の俺のような年代は興味も欲求も絶え間なく溢れてくるという厄介さだ。
 と会うまでそういった波をあまり感じなかった分の反動なのか、今はやたらとたぎって仕方ない。
 俺は決して変態ではない。無節操なわけでもない。俺がこんなに悶絶するのも性的欲求に駆られるのもすべて限定である。
 あくまでこれは、恋人への想いの延長線なのだ。
 愛する者のもっと深いところを知り、探り、触れ合いたいのだ。

「せ、せんぱ……!」
「ん……、どうした?」

 が真っ青になっている。慌てて俺の顔にハンカチを押し付けてきた。どうしたことか。

「は、鼻から、吐血を……」

 の言葉に俺はようやく自覚した。
 あ。鼻血だ。
 俺を想い慌てふためくの可愛さもなかなかだ。しかし、折角のハンカチを鮮血で染めてしまった……。
 制服も白いため、点々と落ちた赤は余計に目立つ。うかつだった。

「い、医務室に……」
「大丈夫だ、多分すぐ治まる」
「でも……、はい……」

 俺の宣言どおり鼻血は5分と経たずに止まった。ハンカチは……洗って返すことにしよう。
 涙ぐんでいるを安心させようと笑ってみせる。

「もう平気だ」
「はい……」

 不意にの手が伸びてきた。俺の手からハンカチを取り、優しく顔に触れてくる。

「ん……、これで、とれました」

 ぎこちない微笑みに、俺は雷で撃たれたかのような衝撃を感じた。
 反則だ! こんなの反則だ! 怒涛の1ターンキルを決められたようなものだ!!
 せっかくが拭ってくれたというのにまた溢れそうになるものを押さえ込み、俺は必死に「ありがとう」と伝えた。
 ハンカチを弁償すると訴えたものの「洗えば大丈夫」とは聞かなかった。なんと控えめなんだろう。

……」
「は、はい?」
「大好きだ」
「うぇっ!? あ、あ、わたしも、です……」

 真っ赤な顔で、それでも俺の想いに答えてくれる。

「むしろ愛している」
「えっ!?」
「むしろむしろ、それ以上の想いに満ちて破裂しそうな勢いだが、俺には言い表すための言葉が思いつかない。許してくれ……」
「だ、大丈夫ですっ、はい……!!」

 言葉足らずの俺を、は真っ赤な顔で許してくれた。本当に健気で可愛くていじらしい俺の恋人!! 今なら俺は家一つぐらいなら壊せそうなほどに高ぶっている。
 改めて恋人の存在に感謝しつつ、俺は歩き出した。
 ああ、神様。仏様。
 俺にこのような幸せをもたらして下さったこと、心から感謝する!
 誰よりも大切な彼女のためにも、安定した未来設計を進めようと思った俺だった……。

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