▼マンタイク~ヨームゲン辺り
【ラピードって…】
エステル「、ちょっと聞きたいんですけど……」
「?」
エステル「ってラピードと話せてますよね」
「うん、話すというか思念が伝わるというか……」
エステル「ラピードってどんな感じで喋るんです? やっぱりユーリに似てちょっと言葉が荒いんでしょうか」
「え? えっと……何て言ったらいいやら」
ユーリ「オレに似て話し方荒かったら、はラピードと話なんてしてなさそうだけどな」
エステル「!」
「ユーリ、まさか荒いって言われたの……」
ユーリ「事実だから気にしてねえよ」
エステル「ご、ごめんなさいです……」
「私、ユーリの話し方、着飾ってなくて格好いいと思うよ……。ね、エステル」
エステル「はいっ、その、ユーリらしくて良いと思います」
ユーリ「……そりゃどうも」
【そんなのありえない!】
「ここがヨームゲンかぁ……」
カロル「が言ってたとおり、砂漠にあったね」
エステル「ですね。それにしてもはどうしてヨームゲンのこと判ったんです?」
「船でも言ったけど……教えてもらったから」
カロル「……だ、誰に?」
「……この街に着いて、この街を見たとき、私じゃない誰かが“懐かしい、ようやく帰ってこれた”って思ったの。その人じゃないかな」
リタ「わ、訳判んないわよ……」
エステル「き、きっとは、アーセルム号で亡くなったこの街の方の魂にとり憑かれて……その気持ちが流れ込んで……亡霊の声を……!」
カロル「ぎゃあああ!」
リタ「いやあああ!」
「お、落ち着いて。もう私の中から、いなくなってるから……!」
リタ「あああ、あ、あんた! 落ち着かせる気無いでしょ!」
【気を付けなさいよね】
リタ「あんたが危なっかしいのは判ってたつもりだったけどここまでだったとはね」
「ごめんね……」
パティ「まあまあリタ姐。うちはの術のお陰で楽しい楽しい砂漠上空の旅が出来たのじゃ」
レイヴン「吹っ飛ばされた当人がこう言ってんだし、ちゃんも反省してんだし、いんでないの?」
リタ「良くないわよ! 前にも言ったけど、魔導器の場所が場所なだけに、負荷が直接脳まで響きかねないの。また記憶飛んでも知らないわよ!?」
レイヴン「何とそれはいかーん! 俺様とちゃんが重ねてきた甘い甘ぁい日々の記憶が無くなるなんて! ここは失うに失えない、更に濃厚なる記憶をば……」
パティ「ほいっ!」
リタ「ふんっ!」
レイヴン「がふぁっ!?」
リタ「おっさんのセクハラダメージでの記憶がまたぶっ飛んだらどうすんのよ!」
パティ「吹っ飛びすぎて思い出せなくなったら大変なのじゃ」
「わ、私よりレイヴンさんの記憶が飛んじゃいそう……」
レイヴン「た、魂も飛びそう……よ」
【聖核は危険?】
「フェローに会えなかったけど、澄明の刻晶の正体はハッキリして良かった」
レイヴン「よくないわよちゃあん。せっかくの聖核が壊れちゃったんだもの」
エステル「壊れたんじゃなくてエアルに還ったんですよ」
カロル「どっちみち、なくなっちゃったことに変わりはないよね」
「術式がないとはいえ、あんなに大きな魔核、なくなった方が安全じゃないかな? 悪いひとの手に渡ったら大変だよ」
ジュディス「何に使われるか判ったものじゃないわね」
ユーリ「だからドンは、おっさん使って聖核を回収しようとしてたのか?」
レイヴン「おっさんには判らんけど、ドンが持ってりゃ間違ったことは無さそうよね」
パティ「じゃがなめて掛かるとうっかり大波に呑まれるのじゃ」
「完全に懸念を払拭できないなら、やっぱり今は還してあげるのが一番だと思う」
リタ「あんたやけにデュークとやらの肩持つわね」
レイヴン「ホントよー! あんな無愛想より俺様のが良いわよーちゃん」
「わ、私はデュークさんの肩を持つというか、聖核にとってそれが最良だと……」
リタ「何が最良なんだか。あたし的にはあいつが何やってんのかハッキリしない限り納得いかない」
ユーリ「まあ、少なくとも悪用する奴なら、あそこで聖核壊したりしないだろ」
エステル「確かに、そうですよね」
「……」
▼ヨームゲン出発~ノードポリカ脱出
【の頼りどころ】
「……それでですね、ラピードさん……」
ラピード「ワンッ」
カロル「って気がつくとラピードのとこに行ってるよね」
リタ「ジュディスともよく話してるけど……。何か思い詰めたりしたらラピード頼ってる感じかしら」
エステル「言葉を交わさずとも深まる絆、素敵です! ……でも、本当に思い詰めてる感じです。大丈夫でしょうか」
「思い詰めてるのはエステルもでしょ」
エステル「……」
カロル「ラピードとの話、終わったの?」
「うん。また夜にでもお話しようってことで一旦おしまい。……ということで、エステルはエステル自身の心配を優先してね」
エステル「は、はい」
【義眼のナゾと優しいリタ】
リタ「何か義眼について思い出せたことある?」
「ごめん、全く無いです」
リタ「……まあ、そのうち思い出すでしょ。あんまり焦んないことね」
「ありがとう、リタって優しいね」
リタ「べ、別に、あたしはただその魔導器が知りたいだけで、なかなか暗号が厄介だから、あんたの記憶が解析の役に立つかもってだけで……」
「優しいねぇ本当に」
リタ「や、優しくなんかないわよ! あ、あたし、カドスで熱くなり過ぎて、あんたにきついこと言っちゃったし……」
「あれぐらい気にしなくてもいいよ」
リタ「あたしは気にするの! だから、それは……謝っておく。……ごめん」
エステル「やっぱりリタはいい人です!」
リタ「いい人じゃないっ! てかいきなり出てこないの!」
「リタはいい人ですよねぇ、ラピードさん!」
ラピード「バウッ!」
「ねぇ、エステル!」
エステル「はいっ!」
リタ「あんたキャラ変わってない!? うぅ~……もう好きにしろっ!」
【本当にいいの?】
カロル「ねえ、本当に魔導器壊しちゃっていいの?」
パティ「まだ確定じゃないのじゃ、カロル」
レイヴン「その可能性があるから確認したいって話でしょ。おっさん的にも、色々慎重に考えた方いいと思うわ」
「右目が無くなっても左目がありますから。それに……この右目のせいで、嫌な思いもたくさんあったから」
レイヴン「……」
「だけどこの右目に助けられたことも事実で。妙な情はあるから、そうなったら寂しいなっては思う」
カロル「じゃあやっぱり、魔導器はそのままにするの?」
「何にも悪い影響がないなら、そうしたいかな。もし影響があれば、壊すか止める。……その考えは変わらないよ」
レイヴン「……ちゃんが一番いいと思えるように出来たら良いわね」
パティ「いつになく真面目じゃのう」
レイヴン「おっさんだってたまには真面目になるわよ」
「……」
【去ったジュディス】
「ラピードさん、私、ジュディスと約束したのに……何も話してもらえなかった」
ラピード「クーン……」
「話しても意味ないと思われたのかな。頼れないと思われたのかな。……どっちにしても悔しいですね」
ラピード「バウッ」
「そうですよね! 本人探しだして言わなくちゃですよね! 頼ってくれないなんてヒドイっていうのと、頼りなくてごめんなさいっていうのと、全部含めて……仲間なんだから、って」
ラピード「ワンッ!」
【は狭間の者?】
ユーリ「狭間の者ねえ……。どういうことだか」
レイヴン「エステルちゃんの力になるかもって話だったわねえ」
ユーリ「なら、エステルと始祖の隷長の間に立って仲裁できるってか?」
レイヴン「俺様に聞かれても困るわよ~。まあ、ちゃんもまだ落ち着かないみたいだし、色々あったし、ゆっくり考えてけばいんでない?」
ユーリ「そうだな。……おい、」
「えっ? な、なに?」
ユーリ「何かあったら言えよ」
「え、あ、ああ……うん」
レイヴン「青年ったら、ぶきっちょさ~ん」
ユーリ「うるせーな」
「……?」
▼ドンの死~フェローとの対話
【ドンの大きさ】
「ドン……もっとお話ししたかった。〈銀雪の狼〉のこととか、たくさん」
ラピード「クーン」
「私もドンと手合わせしてみたかった。でももう……全部できない。最期まで凄い人だったなぁ……」
ラピード「ワンッ!」
「ユーリ、今、きっといっぱいいっぱいですよね。私たち仲間が力になれたら嬉しいな……。というか、なりたいですし、なってあげたい」
ラピード「ワンッ!」
「はい。頑張ります!」
【丈夫な】
カロル「、大丈夫? 怪我深そうだったけど……」
「エステルがすぐ治してくれたから何ともないよ」
レイヴン「にしてもちゃんピンピンし過ぎてて、おっさんビックリだわ」
ユーリ「そりゃ中年のおっさんと若いじゃ体力も回復力も違うだろ」
「もとから私、怪我の治り早いので」
レイヴン「そんなもんかねぇ……」
カロル「ティソンは本当に強いから……大事なくて良かったよ」
「本当にね。次会ったらリベンジだ!」
カロル「いやいや危ないって!」
「ふふ、冗談だよ。戦わずに済めば一番だもの」
カロル「だよね……」
「……また戦ったら、隠せるか判らないからね」
レイヴン「……」
【おかえりなさい、ジュディス】
「約束したのに、いきなりいなくなったの寂しかった」
ジュディス「……ごめんなさい」
「ううん、謝るのは私の方。ジュディスが辛いの、仲間だ友達だって言いながら気付けなかった。ごめんなさい」
ジュディス「……」
「これからは、ジュディスがもっと私を頼れるように逞しくなるよ。あと……」
ジュディス「あと?」
「ジュディスが何でも話しちゃうぐらい、もっと仲良しになる!」
ジュディス「……ありがとう、」
「えへへ……。本当におかえり、ジュディス」
ジュディス「ただいま。……本当にありがとう」
【意気込む】
「エステルは死なせない……。世界も死なせない……。絶対に……絶対に」
ユーリ「落ち着け、。お前なんか様子おかしいぞ」
「そ、そう? 余裕無いのかもなぁ……私も」
ジュディス「明らかにそうね」
レイヴン「まだフェローと会った緊張が続いてるんでない?」
カロル「フェロー、のこと思いっきり怒ったしね……」
ジュディス「私たちみんな怒られたようなものでしょ?」
カロル「それもそっか」
「まだ記憶が戻らなくても、かなりズシッて来たよ。フェローの話。でも、私が一番悩んでるのは……」
ユーリ「エステルのこと、か」
「うん、ベリウスが言ってくれたから。私の力はエステルの助けになる……。絶対に私、エステルを助ける」
パティ「うむ。うちらで絶対に何とかするのじゃ」
ラピード「バウッ!」
▼赤い花の咲く海岸~エゴソーの森
【レクイエムビート2】
「~♪(何かを歌っている)」
パティ「……」
カロル「あっ、またが歌ってる」
エステル「とっても優しい歌です」
レイヴン「相変わらず何て歌ってるかはわかんないけどね」
リタ「幽霊船の時よりはマシよ」
ラピード「ワンワンッ!」
ユーリ「ふーん……なるほどな」
ジュディス「何が“なるほど”なのかしら?」
ユーリ「いや、らしいって話してただけだよ。な、ラピード」
ラピード「バウッ!」
パティ「……ありがとな、」
【アイフリードは悪者?】
「ねえ、カロル」
カロル「なに?」
「ブラックホープ号事件って、本当にアイフリードが起こしたのかな」
カロル「えっ!? そうに決まってるよ! みんなそう言ってるし……」
「でも、だったらちゃんと皆がお墓参り出来るとこにお墓作らないのは何でだろ? ドンの友人であった人がそんなことしたのかな? ……私、何か納得出来ないよ」
カロル「え、ええと……」
レイヴン「少年に訊いたってどうにもなんないって、ちゃん。実際にブラックホープ号事件は起きて、沢山の被害者が出たことに違いないっしょ」
「そ、そうですよね……。ごめんね、カロル……」
カロル「う、ううん。ボクは人伝に聴いて“そうだ”って信じ込んでたけど……みたいに考える人がいても良いと思うし」
「うん、ありがと。ごめんね……」
レイヴン「……」
【のらりくらり】
リタ「エステルが力を使わなくて良いったって、あんたが無茶したらエステルが心配するでしょ! 全くもう……」
「無茶に見えたかもしれないけど個人的には無茶じゃないよ」
エステル「はそうでも、何も判らないわたしたちは心臓が止まるかと思いました」
「止まらなくて良かったよ」
リタ「ふざけてんの、あんた?」
「ふざけてたら光弾に向かって飛び出したりしないよ」
エステル「何だか、ユーリに似てきてません……?」
リタ「もしくはジュディスの影響とかね」
「とりあえず私は大丈夫なんで、リタはエステルの心配に専念してね」
カロル「単にが元々こういう性格なだけって気もするよ……」
【変化した術式のナゾ】
「レイヴンさんにさっき治癒術使った時、びっくりしちゃった」
ユーリ「そういや何か可笑しかったな。どうしたんだよ、あれ」
「私にもよく判らないんだけど……前にも似たようなものを見た気がするんだよね」
ユーリ「前っていつだ? おまえがやらかす回数って地味に多くて見当つかねーや」
「ユーリに言われるとショック……でも……」
ジュディス「ふふ、ちゃんと自覚があるって顔ね」
「うん……。実際にいつ見たか思い出せないあたり、かなりやらかしてるよね私……」
ユーリ「なら、やらかすのは程々にしとけよ」
ジュディス「ユーリもね」
「ジュディスもだよ?」
ジュディス「あらあら?」
リタ「やらかさない人間探す方が難しいわ、この面子」
【引っかかる】
「……」
レイヴン「……ど、どうしたのちゃん?」
「あ、すみません。ぼんやりしてました……」
カロル「ぼんやりしてて、よりにもよってレイヴン凝視だなんて本当にどうしたの?」
レイヴン「なっ、失礼だなぁ少年! あれだよ、遂にちゃんは大人の男の魅力に気付いてしまってだね……」
リタ「はラピード一筋でしょ」
「……」
カロル「恥ずかしがりもしないでまたぼんやりしてる……!」
レイヴン「俺様そろそろ穴が空きそうよちゃん」
「……えい」
カロル「えっボク唐突に治癒術かけられた!?」
「……あ、ごめん! 何か引っかかって……。どうしても思い出さなきゃいけない気がして……でもやっぱさっきみたいにはならないか……」
リタ「変化した術式のこと? 慌てなくてもそのうち思い出すでしょ。それに……」
カロル「それに?」
リタ「あんまりおっさん凝視してたら調子乗るから止めときなさい」
レイヴン「ちょっとぐらい乗らせてよー!」
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