私はとっくに、真っ当な愛し方なんて諦めたのに。まだ、きっと出来ると思う自分がいるのも事実で。どうしたら良いのか分からなくなって、私は、目の前の温もりに頼った。
「アンサー」
甘えるように縋りつくと、仕方ないと言いたげに受け止められる。ベッドのなか、乱れた衣服の隙間から触れ合う素肌が心地良い。少しくたびれたアンサーは珍しく髪を下ろしていて、きらきらの金髪がさわさわ触れてきてくすぐったかった。
「アンサーの髪、長いねえ」
「まあ、よりは長いでしょうね」
「アンサーの髪、好きよ」
髪の一房を手に取り口付ける。「ありがとうございます」とアンサーから、ちょっぴりもごもごした返事が返ってきた。恥ずかしいのかな? くすくす笑っていると、アンサーも私の髪をそっと手に取って、口付けてくれた。
「私もの髪、好きですよ」
「ありがとう」
髪だけ? なんて野暮なことは聞かない。私はアンサーに、アンサーは私に、ぐずぐずに惚れ込んでいるのだ。確かめるまでもない。昨晩あんなに愛し合ったのだから。頭のてっぺんから爪先まで、好き同士の私たち。
ちょっぴり軋むような痛みを覚えている腰に、アンサーの手が伸びてくる。優しく、何らいやらしさのない手つきで、私の腰を労るように撫でてきた。
「なでなで気持ちいい~癒やされる~」
本当に気持ちよくて、うとうとしちゃう。ツボか何か心得てるのかな。それともアンサーの手だから落ち着いちゃうのかな。アンサーに頭を撫でられるのも気持ちいいからなあ。
私だけ癒やされるのは不公平な気がして、アンサーを見上げる。
「私もなでなでしよっか」
「良いですよ、別に」
「アンサーを労るとなると……どこ触ったらいいの? 昨日頑張ったとこってなると……お尻?」
「本当に良いから」
昨日のアンサーの頑張りを思い返す私を遮るように、アンサーが声を上げる。昨日のアンサー、本当にすごかったんだよ? あんなものを(あんなって言っても、私が用意したんだけども)あそこに頑張ってお迎えしたりしてさ……。もちろん私もやったけどね。だからお尻がちょっとむずむずする。
アンサーは大丈夫って言ったけれど、私もアンサーの腰をさすった。たくましくて無駄なものなんてないカッコイイ腰つき。少しも痛めたりなんかはしてなさそうだけれど、疲れてはいるだろうから。
「くすぐったいですよ、」
「あれ~? アンサーみたいにマッサージ上手く行かないなあ……」
くすぐったいと言う割に止めさせるわけでもないアンサー。賢い私には分かる。アンサーは喜んでくれているのだ。つたない私の手つきからでも気持ちをくみ取ってくれて、くしゃりとした笑みを見せてくれるのだ。
ああもう、大好き!
「こうですよ、こう」アンサーが私の腰をマッサージして教えてくれる。けど、私の腰とアンサーの腰じゃ規格が違いすぎていまいち参考にならない。
「こう?」探りさぐり撫でてみる。
「まだくすぐったい」アンサーがまた笑った。すごく幸せそうな笑みで、私はそれに少しでも貢献できているのだと思うと、誇らしくなった。
開き直ってくすぐると、「やったな?」とアンサーもくすぐってくる。しばらく耐えていたけれど、私は我慢できなかった。アンサーをくすぐるどころじゃない。
「あはははは! ごーめーんなさーい! 参りましたぁ!」
「分かりゃ良いんですよ、分かれば」
降参するとアンサーはすぐにくすぐるのを止めてくれた。ちょっと勿体ない気もした。アンサーとは無限にじゃれ合いたい。飽きるだけ、いくらでも。
……何だかムラムラしてきちゃう。昨日あんなにしたのに。
じっとアンサーを見上げる。アンサーもじっと私を見つめている。その視線が僅かに泳いだとき、口を開く。
「アンサー、ムラムラしてない?」
「……正直、少し」
私はアンサーに顔を近付けた。「少しってどのくらい?」たくましい彼の肩に手を掛けながら、首を傾げる。アンサーは目を逸らしながら呟く。
「少しったら少しですよ」
「そっかぁ……」
アンサーの鎖骨を撫でてから、唇を押し付ける。ぴくりと反応が返ってきて、にやりとした。ちゅ、ちゅ、と繰り返し鎖骨にキスをする。「……」困ったようなアンサーの呼び声がちょっと熱っぽい。
私はにやりと笑った。
「おいで、アンサー」
お姉さんがたっぷり愛してあげる。
するとアンサーは、私に馬乗りになってきた。穏やかだった碧眼が熱に揺らいでいる。
「後悔しても、」
「しないよ。だってここから私の……」
私の、楽園に入れるんだもの。
重なる唇の熱に、私はまた笑ってしまった。
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