日々の激務で疲れ切っているアンサーに、は何か出来ることは無いかと考えた。
 手伝いをするにしても限度がある。代わってやれる仕事もなかなかない。「手伝ってくれるだけで十分ですよ」と法力通話の合間にアンサーは言ってくれたが、それでもは納得していなかった。
 何か気分転換になるものを贈ろう。
 そう思ったは、あるものを作ってみたのだった。

「……これは?」

 アンサーは、が差し出した小箱を見つめて瞬きする。
 は小箱をアンサーに渡すと、開けてみるように促した。促されるままにアンサーは箱を開ける。

「……これは」
「石鹸だよ!」

 手裏剣のモチーフの入った石鹸。嬉々としては、その理由を語る。

「アンサーって疲れてるでしょ。で、趣味が秘湯巡りなんだって? それだったら、秘湯巡りがもっと楽しくなるような、ちょっといい気分になれるような、それで役に立ちそうなものを贈ったら良いんじゃないかって、チップと話したの! それで思いついたのが石鹸。ちょっとイイ素材使ってるからそこらの石鹸とは違うよ~」
「つまり、石鹸を手作りしたんですか?」
「そうだよ~」

 アンサーは驚いた。が石鹸を手作りしてくれたことも、相談にチップが乗ったということも、こちらの疲労を気遣って贈り物をしてくれたことも、全て。
 同時に、とても嬉しくもあった。

(まあ、お頭が事務全部俺に投げて来なけりゃここまでじゃないんですけどね……!)

 はアンサーを見上げている。贈り物に関しての反応を待っているのだろう。こうして見ていると、まるで年上とは思えない。不安そうにアンサーの顔色をうかがって、組んだ両手を落ち着かなそうに揉んでいる。「どうかな?」声音もいつもよりほんの少し元気がない。
 箱を閉じると、アンサーは笑った。

「ありがとう、。秘湯巡りのおともにさせてもらいますよ」
「うん!」

 飛び上がりそうな勢いで頷くの頭を無意識のうちにアンサーは撫でていた。チップがよくこうしているのを覚えている。そのたびにが喜んでいるのも。こういうところも子どもっぽくて、とても年上には思えないのだ。自由奔放で天真爛漫な彼女にアンサーが抱くのは、妹でもできたような不思議な感覚だった。
 妹と呼ぶには、多少大人びたところがあるけれども。

「それと、もし良かったら今度は私にも石鹸作りをさせてくれませんか」
「いいよ! 材料用意しておくから、いつでも声かけてね」
「ありがとうございます」
「どういたしまして!」

 アンサーの反応を見てはすっかり安心したようだった。踵を返して自分のテントへと戻っていく。

「じゃあね、おやすみなさい! アンサー!」
「おやすみなさい、

 言われてアンサーは気付いた。もうすっかり夜更けであることを。まだまだ仕事はあるが、にああ挨拶した手前、アンサーは仕事を切り上げて眠ることにしたのだった。

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