は小さい。小さいから、色々と気を遣わなければならない。
頭一つ分以上違うと、声が届きにくいので気づかれないように軽く身を屈めての声が届くラインに合わせる。
歩幅も当然大きく違うから、いつもの調子で歩くとが駆け足になってしまう。
食事の量も違う。食べるスピードがそれほど変わらないのは、彼女の少食を裏付けている。
遠出したときの負担も大きくなりがちだ。休む量が私たちより多い。
小さく、弱く、脆い。だから、には気を遣ってやらなくてはならない。
「アンサー、すっごく私に気を遣ってるよね」
「そりゃあそうでしょう」
何故か不満げなに、間髪入れず即答する。書類を渡すと、やはり不満そうな顔で受け取る。
「私とあなたでは能力が違うんですから」
「つまり、私が弱いから?」
「……あけすけに言ってしまえばそうです。ですが弱いことは決して悪いことではありませんよ」
フォローを入れると、不満げだったの顔は少し和らいだ。しかし代わりに泣き出しそうなふうに眉尻を下げてしまう。書類に目を落としながら、は呟いた。
「でも弱いと迷惑かける……」
いじらしい悩みだ。戦いの才が無いことはもう周知の事実、当人も諦めがついたと思っていたが。
私は書類の束を置いて、席を立った。
「。強くても迷惑をかける奴はかけるんですよ。今まさにどこかほっつき歩いているバカお頭のように」
「迷惑? かけてるの?」
「この! 書類の! 山が! 見えませんか!」
ああ、とは小さな溜息をもらした。この書類の山が、ヤツが押しつけていった仕事の山だということを思い出したらしい。
「もいっぱい手伝うから……なんとか頑張ろう」
「有難うございます。大変助かってますよ」
お頭は全くもって事務仕事をこなすつもりは無いらしい。私はお陰で東奔西走する羽目になっているというのに。
が手伝ってくれるようになってかなり救われているとはいえ、それでもだ。
お頭が目を通さないとどうにもならないこともあるというのに!
だからと言ってに仕事を振りすぎるのも良くない。の体力を考えると、このぐらいが限度だろう。本人はもっと手伝いたがってくれるが無理はさせられない。
「私ももっと手伝えるように鍛えるからね」
「くれぐれも無理はしないでくださいよ」
分かってるよ、と微笑むの笑みに、ほんの少し心が和らいだ。
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