は起き上がろうとした。起き上がろうとしたのだ。しかしそれは叶わず、半身をややベッドから離したところで、の力は尽き、ベッドへ引き戻されてしまう。
それでもは必死に起床を試みる。だが……。の体に絡みつく二人の男の腕が、それを阻んだ。
……チップとアンサー。ぐうぐう眠るこの二人のものである。
「あったかいんだけど……苦しいなぁ」
どうしてこうなったのかは説明するとやや掛かる。だがチップとアンサーが素っ裸である、は下着姿である、ということで大方察しはつくだろう。そう……飲んだくれて野球拳をしたのである。
野球拳。ジャンケンをし、負けたら一枚服を脱ぐゲーム。あれだ。
お手製の日本酒で酔いに酔った二人は、に何か遊びはないかと絡んできた。そこで、は前述の野球拳を提案した。も大概酔っ払っていたのだ。勢いに乗ったチップとアンサーが野球拳を始め、アンサーがひん剥かれ、アンサーの仇と立ち上がったがチップをひん剥き、名誉の負傷としてもその際に下着までひん剥かれた。
酒の力が無ければ成せなかった所業。成せなくて良かった所業だ。普段だったらチップとアンサーお互いはともかく(?)、に「服を脱げ」など言うはずがない。は自身の造り上げた日本酒の恐ろしさを痛感すると共に、この現状からの脱出を図っていたのである。
「でも、裸のチップとアンサーを同じ布団にしとくのもよくない……? 私が挟まってた方がマシかな?」
考えては、大人しく布団におさまった。少し大きめのベッドとはいえ、屈強な男二名に挟まれるとギリギリだった。
「にしても何で二人とも私にしがみついてるのっ。は湯たんぽじゃないのよっ」
肌と肌が触れ合って気恥ずかしいのもあって、は小さな抗議の声をあげる。依然として眠る二人の忍者。酔いも冷めて、は、裸の異性に挟まれるこの状況に当然ながら照れていた。恥ずかしかった。出来ることなら今すぐ飛び出したいほどに。
仰向けになりながら、は両手で顔を覆った。
「早く起きてぇ……二人とも……」
泣き声でが呟くと、両脇から、フッと笑いが漏れた。聞き間違いかとは手を下ろし、両脇を見やる。
……チップとアンサーが笑っていた。
「起きたのね!」
「起きてたよ、ああ、起きてた」
「ただの反応が面白くて……」
越しにチップとアンサーは笑い合う。なあ、ねえ、と呼びかけ合いながら、声を上げて笑う。
の恥ずかしさは頂点に達した。
「なら! 早く離れようよ! 恥ずかしいでしょう?」
が言うと、チップとアンサーは顔を見合わせ、
「いや?」
「いえ?」
あっさり否定した。
「何でっ!?」
が問うと、に絡んでいたチップとアンサーの腕がより力強くなった。は見動き出来なくなってしまう。
「オレはオマエのこと好きだからな」
「私もが好きなので」
「て、照れるなぁ……。私も二人のこと好きだけど……っ?」
の反応にチップとアンサーの目がぎらついた。
「……分かってねえなあ」
「この状況で、ねえ?」
ひやりとしたものがの背筋を滑り落ちる。あやしくチップとアンサーの手がの体を撫であげていく。
あ、コレ何かヤバい。は直感した。
チップとアンサーの謎の結託に、逃げ出そうと試みるもやはり駄目。この大統領と補佐官は並々ならぬ強さと逞しさだった。
「アンサー」
「分かってますよ、あまりがっつかないようにしてくださいね」
「オマエこそ早くしたくて堪らないんじゃねえのか
」
「馬鹿かと」
はもがく。意味がないと分かりながら。
これから二人の手によって自分がどうなるのか想像すると顔から火が出そうだった。
「嘘でしょ……」
嘘か真かはともかく、その後、チップとアンサーはのお陰で大いに愉しんだ――。
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