※ボディステッチ表現含みます
ちゃんはひとりぼっちが嫌で、あと、真っ暗なお部屋が怖い。でも、ひとりぼっちで真っ暗なお部屋の真ん中で僕の帰りを待っているときの、心細くてポロポロ泣いてるちゃんの姿が、とっても綺麗でかわいくて大好きです。
部屋の扉を開けると、ちゃんはすぐに顔をあげて僕を見る。泣いて真っ赤になったちゃんの目がまたかわいいです。
「おかえりなさい、什造さん」
どれだけ泣いてても、ちゃんは僕を笑って迎えてくれる。僕も自然と笑って返す感じになります。
「ただいまです、ちゃん。ちゃんと僕の言うとーり、今日も電気つけないでいられたんですねぇ」
「はい。什造さんとの約束破ったら、辛くて死んじゃうもの」
辛そうなちゃんに、部屋の電気をつけながら僕は言いました。電気を極力つけないのも、ここに人が住んでるって分からないようにするためで、決して意地悪なんかじゃないんです。電気をつける時は僕と一緒の時だけ。僕が守ってあげるから電気つけても良いですよって。電気がついてないときにちゃんが危ない目に遭ったら? ……それはないと思いますねぇ。ちゃんとそういうトコも考えてます、防犯的にアレコレは教えられませんけれど。
縋りつくちゃんの髪を撫でて僕は言います。
「ダイジョーブですよぉ。死んだりしないです。ちゃんは、僕とずっと一緒なんですから」
僕よりお姉さんなのに泣き虫で寂しがりやで甘えん坊さんなちゃん。僕がぎゅうっと抱き締めてあげると、柔らかくてふわふわな良いニオイがした。昨日一緒にお風呂に入ったのに、僕と全然違う良いニオイなんですよ? 不思議ですよねえ。シャンプーとかもみんなお揃いなのに。ますますちゃんが大好きです。
ちゃんはよく笑うひとだった。けど、それは全部強がりだったんです。ちゃんはずっとずっと心の奥で叫んでました。実はずっとずっと傷ついてました。
“こわいよ”
“さみしいよ”
“ひとりにしないで”
“わたしをのこしていかないで”
“いっしょにいきたい”
いっぱいいっぱい叫んでました。でもそれを全部隠してたんです。
そんなの、苦しくて見てられません。
だから僕はちゃんに「一緒にいましょ」って言ったんです。ちゃんは僕を真っ直ぐキラキラな目で見てくれるから、ちゃんと一緒にいたかったんです。ちゃんもおんなじ気持ちだったから、僕たちは一緒に暮らすようになったです。
ちゃんは基本的にお留守番です。喰種に狙われやすいちゃんの傍にいてあげたいですけど、お仕事をしなきゃ暮らしていけないです。いっぱいいっぱい考えてちゃんのことを喰種が見つけないように、襲わないように、頑張ってるんですよ? たまに一緒に出掛けますけど、ちゃんを狙うのは喰種だけじゃないです。人間も危ないです。だから、なるべく僕以外の人にちゃんを見せたくない。だって、僕の、“俺”の、僕の、ちゃんだから。
ちゃんも、僕以外の人とか見なくていいから。僕だけでいいから、ダイジョーブです。幸せすぎて毎日ハッピーですよお。
「什造さん、ご飯、作って冷蔵庫に入れておきました」
「わぁい。一緒に食べましょお」
「じゃあ、すぐ温めますね」
笑いながら立ち上がるちゃんが、左手を擦る。左手の薬指には、僕がしてあげた刺繍。ケッコンユビワ、みたいな感じです。おそろいの赤い糸で指の回りをぐるーっとなるようにしてあげたら、ちゃんは泣いて喜んでくれました。かわいくってかわいくて、たくさんたくさんギューッとしてあげちゃいました。
ちゃんが作ってくれたご飯をいっぱい食べたあとは、ちゃんが食器を洗うのを待ちます。「什造さんは疲れてるでしょ、休んでて」なんて。新妻さんみたいです。カワイイですちゃん。
洗い物の終わったちゃんは、すぐに僕のとこにやって来た。
「什造さん、あらためて、今日もお疲れ様です」
「はいー疲れてますー。なでなでしてくださーい」
「はい、いっぱいします」
ちゃんにギュッとくっついて頭を撫でてもらうと、ちょっとやそっとの疲れなんて吹き飛んじゃいます。
「ちゃん、指輪いたくないです? 普通は痛いですよね?」
痛い方が記憶に残るです。だからその方が良い。でもちゃんが痛くて泣いたら嫌です。僕の好きな泣き顔と違うから。でもちゃんを痛くして良いのは僕だけ。ちゃんの全部が僕だけのもの。……結局はとにかく僕だけのちゃんってことです。わかりやすい。
「チクッてしたけど嬉しいですよ」
「嬉しいですか?」
「だって、結婚指輪……って言ってくれましたよね。什造さん」
普段は真っ白で雪みたいな頬を赤くして、ふにゃっとちゃんが笑う。
「だから幸せなんです」
「……僕もシアワセです、ちゃん」
ちゃんに抱きつき直しながら僕もふにゃっふにゃに笑いました。
「お風呂やめてすぐお布団入りたいです。いっぱいいっぱいキスしたい」
「じゅ、什造さん……」
「でもお風呂で体洗ってあげてるときのちゃんの顔も見たいですー。悩みますー」
こういうときはアレです。
「ちゃん、服脱いでベッドにいてくださぁい」
「えっ?」
「今日お部屋いるの暑かったでしょうから、体ふきふきしたげます~」
恥ずかしそうにちゃんは小さく頷いて、ブラウスのボタンを外し始めた。それを確かめてから、僕は、ちゃんの体を拭くタオルとかをテキトーに用意しました。
そう言えばちゃん、「指輪以外にも印つけてください」って言ってたような。体を拭いてあげながら、今度はどこに縫い縫いしてあげればいいか、ちゃんと話し合わなきゃ。
「どんな風なのがいいですかねえ」
つい鼻唄まじりにお部屋に戻ると、僕の言う通りに服を脱いだちゃんがベッドに座ってました。真っ白でお人形みたいです。
緩く上下する胸元、すらっと投げ出されてる足、他にもたくさん、まじまじ見つめて僕は笑いました。
「本当にちゃんは綺麗です」
僕が言うと、やっぱりちゃんは嬉しそうに笑いました。
ちゃんには僕だけ。
僕にはちゃんだけ。
こんなに幸せでシアワセでたまらないこと、他にはないですよねぇ……。
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