ぼさぼさの頭で大統領テントにやってきたを見て、チップは目を丸める。
「女の子は身だしなみが肝心なの~おばあも一応ね~」と最低限の身だしなみは整えるあのがみすぼらしい姿でやってきたではないか。かろうじて服装は整っているしスキンケアも済んでいるようだが、そのぶん、手が回らなかったであろうぼさぼさ髪が悪目立つ。

「Hey、。こっち来な」
「あ~い? どしたの~?」

 ぽてぽてとハムスターのように歩み寄ってきたを、チップがくるりと回転させる。「はい?」チップに背中を見せたまま、は首をかしげる。「よいしょ」チップはを抱き上げ、膝に乗せる。父親と娘ぐらいの差が色々とある。年齢に関してはのほうがバグっているのだが……。
 どうやら眠たいらしいに、「ちょいと頑張りな」とチップが呼びかける。どこからか櫛を取り出して、初めて出会った頃に比べてだいぶ伸びたの髪を、もう片手を添えながら丁寧にとかし始めた。

「きもちいー、あいてっ、きもちいー」
「こりゃメチャクチャだな! 腕がバキバキ鳴るぜ!」
「それ折れてんだよなぁ」

 手際よくとかされた髪を、今度は手際よく三つ編みにしていく。ある程度編み終わったら髪紐で結んで、出来上がり。
「よっし、できた……」とチップが言いかけた時、限界を迎えたの体がゆったりとチップに倒れこんできた。あまりにも軽い。軽かった。身だしなみが不完全だったのは眠かったかららしい。おそらく徹夜、それも一日ではないだろう。また何かの実験をしていたのか、新しいレシピを試していたのか、法術の練習でもしていたのか……。
 なんにせよ、屈託ない少女の眠りを妨げるほど、チップは野暮ではなかった。自分の胡坐の上で良ければ、この胸で良ければ、存分に貸してやろう。眠りに最適だとは思えないが、下手に運ぼうと動かして起こしてしまうのは勿体ない。
 結局が起きたのは、存分に眠った後、へとへとの顔でやってきたアンサーに起こされてからだった。

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