「はバイト頑張ってるってクロウが誉めてたよ! 今度オレ、バイト見に行っていい?」
「おー、気を付けて来るんだぞー」
「ねえねえ、前から聞きたかったんだけど、っていつからその帽子被ってるの?」
「んー、15の冬から……」
「暑くない? 夏も被るの?」
「これ夏用……冬用は元の世界の家にあるんだぜー」
「それからさ、その服って動きづらくない?」
「んんー、学ランをなめんなよー。結構いけんだ……。破けたら繕う」
「それ、服の限界超えてるんじゃんか!」
「もう! いい加減にしたらどうなの龍亞!」
龍可に怒鳴られて、オレはひっと肩を竦ませた。黙ったオレをちらっと見てから、龍可がに向き直る。
「ごめんなさい、さん。疲れてるのに……」
「んや、気にするな。大丈夫」
申し訳無さそうに謝る龍可に、は笑いながら返してる。はオレたちの正面に座り、頬杖をついてた。
が大丈夫だって言ってるんだから、ちょっとぐらい話したって良いと思うんだけどなぁ。
龍可はにやたら気を遣ってる気がする。
「つか俺寝すぎだからさ、じゃんじゃん突っついてくれ。脳みそがこのままではとろけちゃう」
「寝過ぎたら脳みそ溶けちゃうの!?」
「た、確かに溶けたら大変だけど……本当なの、さん?」
龍可の質問に、は深く頷いてみせた。
オレはますます慌てた。
「や、やばいよ龍可! オレたちで何とかしないと!」
「でも……眠いなら寝た方が……」
「うーん、それも一理あるけど……どうしよう!」
オレたちがうんうん唸って頭を捻ってたら、後ろから誰かがやってきた。
「どうしたの、あなたたち」
「アキ姉ちゃん!」
やった! オレよりずっと頭の良いアキ姉ちゃんなら、良いアイデアが浮かぶに違いないもんね!
オレと龍可は、眠たそうに瞬きするを何とか起こしつつ、今までのことを説明した。
オレたちの話を聞き終わったアキ姉ちゃんは、「なるほどね」と頷いてみせる。
何か良い案があるのかな。表情は明るい。
「」
「はい?」
「寝なさい」
「えぇっ!!?」
思わぬ一言に、オレたちはびっくりした。
「アキ姉ちゃん、でも、あんまり寝たら脳みそがとけちゃうって……」
「大丈夫よ。無理して起きてる方がよっぽど脳に悪いわ」
「そうなんだ……」
アキ姉ちゃんは笑いながら話す。
「確かに寝過ぎると頭がうまく働かなくなることがあるけれど、今のを見てみなさい。眠たくてまともに起きてられないじゃない。正直、寝るしかないのよ」
確かに、アキ姉ちゃんの言うとおりだ。今のは、席を立とうものならすっころんじゃいそうだった。
「今日明日はバイトも休みでしょ、。ゆっくり寝たらいいわ」
「アキさんの言うとおりだわ。さん、ゆっくり休んでね」
「どうせなら、明日までどーんと寝ちゃったら良いよ!」
「あら、それは良いかもね。思いっ切り寝たらすっきりするでしょうし」
オレたちが三人で畳み掛ける。眠たそうなまぶたを必死に上げて、は頷いた。
「すまん、そうするわ。……ああ、でも飯準備が、俺当番……」
「大丈夫大丈夫何とかするって! な、龍可!」
「うん! だから安心して、さん」
がアキ姉ちゃんを見た。アキ姉ちゃんが笑って頷く。
ようやくは、「おやすみなさい」と言って、部屋に向かった。
よし、これで大丈夫だ。
オレは龍可と顔を見合わせて笑った。
「後はの安眠を妨げるものからしっかり守ってあげなきゃね」
「え?」
不意にアキ姉ちゃんが言った言葉に首を傾げる。アキ姉ちゃんは苦笑いをこぼしながら話してくれた。
「の眠りを妨害する人がいっぱいいるらしいの。だからよ」
「へえ……よく判んないけど頑張るよ!」
「うん、わたしも!」
だから、!
安心していっぱい寝ててよね!
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