それは、突然シバの女王が、ソロモンのアジトを訊ねてきたことから始まった。

『シュリエという、自然に恵まれたひとつの街がある』

 ソロモンは初めて聞く街の名だった。王都では交易相手としてよく挙がる街らしい。

『シュリエの毛皮は我が王都でも人気なのじゃがな、それを見たガブリエルたちが何やら怪しいと言うのじゃ。それが本当に真っ当な手段で得られた獣の毛皮なのかと。ハルマの勘なのじゃろう……。以来、わらわも気になって仕方がないのじゃ』
『それで俺たちに調べてきて欲しいって訳か』

 シバに紅茶を出しながら、ソロモンは話に耳を傾けた。どんな毛皮だろう、とぼんやり想像しながら、自分も紅茶を啜る。

『うむ。毛皮は確かに質が良く美しい。しかし、あのような毛並みを持つ動物をわらわは知らぬ』

 やって来るシュリエの商人も、毛皮の美しさや逸話はふんだんに語るものの、実際どんな獣なのかを問うと途端にその饒舌さや具体性を失ってしまうらしい。自分たちが扱っているものが一体どんな動物のものなのか分かっていないのではないか、とシバは言う。

『何より気がかりなのが、つい最近王宮に持ち込まれた毛皮を見た時のことよ』

 シバの女王の証である指輪を摩りながら、彼女は言った。

『毛皮に、僅かながらフォトンが宿っておったのじゃ』

 ソロモンは、驚き、目を見開いた……。

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