こわくて大きな何かが、すべてこわしていきました。
わけも分からないまま、お家がこわれて、すごい音がして、まちもこわれてしまったのを知りました。私たちは、守り神さまが守ってくれたから助かったけれど、みんな、いなくなってしまいました。
お母さんは「助けを呼んでくるから」と言って、私たちをおいてどこかへ行きました。お父さんが死んでしまってから、お母さんは守り神さまといっしょに私たちを守ってくれていました。お母さんはけがをしていたのに、私たちを助けるためにいってしまいました。
お母さんがいなくなって、守り神さまが私たちを守ってくれていたのも少しずつなくなって、私たちはどんどんつらくなりました。
食べるものもなくなってきて、アルトは泣き虫だからよく泣いてしまいました。リィーナも前みたいに笑えなくて、よくぐずりました。私はお姉ちゃんだから、ふたりを抱きしめて、お母さんのかわりにふたりをはげましました。
お母さんはなかなかもどって来ませんでした。
どのくらいたったか分かりませんでした。お家のまわりの木に、食べられるものが実っていたから、ふたりに食べさせました。体が苦しくなることがおおくなりました。
そんなときでした。
旦那さまと、ふたりの騎士さんが、お家に来てくれました。
旦那さまは、お母さんが呼んでくれた人でした。助けに来てくれた人でした。騎士さんも私たちを助けるために来てくれたそうでした。
けれどお母さんはいませんでした。旦那さまは、お母さんが死んでしまったんだと教えてくれました。
がまんしていたけど、旦那さまがつらそうに話すのと、お母さんのペンダントを持っていたのを見て、私はがまんできなくなりました。
たくさん泣いてしまう私を、旦那さまはずっと抱きしめてくれました。アルトとリィーナを、黒髪の騎士さんがつれてくれました。銀髪の騎士さんが魔物を追いはらってくれました。
旦那さまはウォクスさま、黒髪の騎士さんはシュヴァーンさん、銀髪の騎士さんはアレクセイさん。
お母さんが死んでしまったのはつらくてかなしかったけれど、私はお姉ちゃんだから、はやく元気にならないとです。
◆◆◆
旦那さまは、私たちをひきとってくれるとおっしゃいました。旦那さまはお医者さまでもあって、私たちのことをみてくれました。
今までいた場所をはなれるのはさみしかったです。せめて守り神さまにあいさつをしたかったけれど、守り神さまが見あたらなくて、あいさつできませんでした。
私たちは旦那さまのお家まで旅をしました。はじめて見るものがたくさんで、船にのったり、とてもふしぎでした。魔導器というもののことや、エアルのことなど、旦那さまはたくさんお話をしてくれました。お家に行ったら、もっと話してくれるそうです。
夜には、魔物がおそってこないように、シュヴァーンさんとアレクセイさんはいつも見張りをしてくれていました。
もうちょっとで旦那さまのお家につくという日の夜、眠れなくてテントから出たら、シュヴァーンさんが火を見ながら胸を押さえていました。「寝なさい」と怒られたけれどシュヴァーンさんがつらそうで、私はおまじないをしてあげました。シュヴァーンさんはびっくりしてたけれど、顔色がよくなっていたので、私はほっとしました。
◆◆◆
旦那さまのお家につきました。
お家には使用人さんたちがいました。「今日からここがお家だよ」っていってくれて、すごく安心しました。みんなやさしくて、アルトとリィーナもうれしそうでした。
悪いところがないか、たくさん心配してくれました。旦那さまがあとでちゃんとみてくれるそうです。
私は使用人さんたちともお話しました。お父さんやお母さんのことも聞かれました。怖いものが来たのに無事だったのは、守り神さまが守ってくれたからだとか、いろいろ話しました。
つかれてしまったので、私はアルトとリィーナといっしょに、早いうちに寝てしまいました。
その日、私は守り神さまの夢を見ました。守り神さまは何か言っていたけれど、よく聞こえなかったです。きっととても大事なことだと思って、私はなんとか聞こうとしました。
けれど、守り神さまは、かすみのように消えてしまいました。
◆◆◆
アレクセイさんとシュヴァーンさんは、お仕事があるから帰るそうです。
なので私たちは、お見送りすることにしました。
アレクセイさんは、私たちを助けてくれたのは「騎士の務めだから」とおっしゃいました。騎士さんは本当にすごいです。何回お礼を言っても足りないと思いました。
シュヴァーンさんはあんまり笑ったりしないのでちょっとこわかったけれど、私たちをずっと守ってくれた強い騎士さんです。ちゃんとシュヴァーンさんにも私はお礼を言いました。
そしたらシュヴァーンさんは、「こちらこそ、あの時はありがとう」とおっしゃいました。たぶん、あの夜のおまじないのことだと思います。私はとてもうれしかったです。ちょっとでも恩返しになったかな?
そして騎士さんたちは帰ってしまいました。ちょっとさみしかったけど、アルトとリィーナと、旦那さまたちがいます。
あたらしい場所で、あたらしい生活を私たちはします。
お母さんもお父さんも、守り神さまも心配しないよう、私はがんばります。
だって私は、お姉ちゃんだからです。
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