あたたかいお日様を浴びながら、私の傍で眠るアルトとリィーナ。すやすやと健やかな寝息に耳が擽られて、頬が緩む。
見上げた空には雲なんて1つもない。柔らかい青色が頭上いっぱいに広がっている。風も優しくて、何処かの鳥の囀りを乗せながら過ぎていく。
「」
視線を戻すと、穏やかに微笑む旦那さまの姿があった。旦那さまはアルトたちを起こさないように忍び足で近付いてくると、私の隣に座った。
「相変わらずだね、この子たちは」
「それがいいんです」
「そうだねぇ。平和な証拠だ」
ふやふやの笑顔の旦那さま。つられた私もきっとふやふやになってるんだろう。
「、私の他愛ない話を聞いてくれるかい」
私は笑って頷いた。旦那さまも笑っていたけれど、何処か寂しげな笑顔だった。寂しい笑顔のまま、旦那さまが話し始めた。
「私はね、妹がいたんだ。けれどあまり心臓が強くなくてね。君と同じくらいの年頃に亡くなってしまったんだ」
私はびっくりした。旦那さまの声はとても悲しそうで、私の胸はずきりと痛む。旦那さまがご両親を早くに亡くしていたとは訊いていたけど、まさか妹さんまで。私は両親がいなくなっただけであんなに辛かったのに。アルトとリィーナまでいなくなったら……きっと死んじゃう。
「あの時、私は沢山悲しんで、泣いて、思ったんだ。妹のように生まれながらにして不自由な体を持つ人を、どうにか助ける術を見つけようって」
「それが、魔導器ですか……?」
おそるおそる訊ねると、旦那さまは頷いた。
「魔導器が、弱い体の代わりになってくれるんだ。諦めないで皆が生きるための力になってくれるんだ。更に人々の役に立つよう、もっともっと私は研究を続けるつもりだ。助けることの叶わなかった妹のためにも、ね」
不意に旦那さまが私の頭を撫でた。撫でられるのはくすぐったいけれど、気持ちいいから大好き。目を細めて旦那さまを見上げると、やっぱり旦那さまは優しく微笑んでいた。
お日様みたいに、あったかい。
「の体も、よくしてみせるよ。私はが大好きだからね」
「私も、旦那さまが大好きです。だから、いっぱいお手伝いします」
何が私に出来るか判らない。けれど私は精一杯に応えた。
「ありがとう、」
そう言って、旦那さまは笑ってくれた。
「君にそう言ってもらえると、他の誰の励ましより私の力になるんだ。君が妹に似ているからかな――」
なのに――。
死んだ人がたくさんいるの。
試作品だって言って魔導器を植えられた生き物がたくさんいるの。
私のせいで死んでしまう命がいっぱいあるの。
私のせいで。
私のせいで。
「。約束してくれたろう? 約束しただろう? さあほら、一緒に頑張ろう」
変わらず木霊する声に、私の胸は押し潰されてしまいそうになる。
「一緒に、だよ」
私が、間違ってたの?
私の選択は何ひとつ救えないものだって言うの?
だったら私は、私は。
なんの、ために。
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